FileMaker(現Claris)が公式に開発者数を発表していたのは古く、2012年頃の国内アクティブライセンス数はざっくり10万本台後半(正規ユーザー数はもっと少ない)らしいけど、その後の公開は途絶えているみたい。Claris Partner数(旧FBA認定開発者)が国内でピーク時は400社以上あったようだけど、2024年時点では公式サイトで確認できるのは200社弱に減少している。ここから開発に関わる企業数自体が半減したのはほぼ確実。
国内の求人情報では2015年頃には「FileMaker経験者歓迎」の求人が一定数あった気がするけど、2020年代に入ってからは大手求人サイトで「FileMaker」の単独求人はほぼ見なくなった。
一番大きな原因は、ワクワク感よりライセンス増を選んだことかな。かつてWeb開発者がFileMakerに参加できる大きな窓口だったPHP APIが、WPEの終息で将来的に使えなくなる流れになり、米国のWeb系エンジニアがFileMakerから相当離れた。
更にはWebビューアーのレンダリングの限界
たとえば、FileMakerのリストで「データが大量過ぎてスクロールも出来ない、スクロールがリセットされてしまう、迷子になる」など長年悩まされ続けている。解決させるためにAG-gridなどを使ってみてページングさせようと試みるが、少ないデータならWebビューアーは表示するも、大量だとブラウザのメモリや処理能力の限界に達する。なのでこちら側で最適化を考える。Data APIの年間使用量上限が廃止されたことで、大量データの活用が容易とあるが、必要なデータのみをJSON形式で効率的にWebビューアーに渡さない限り、結果は同じと言う事。
WebビューアーがデータベースのDATAに向いていない事が明らかになった時のガッカリ度は半端なかった。
それ以降見事に減っている。
・たてまえは、Webアプリやクラウドシステムがビジネスの主流になり、FileMaker単体では対応が難しい要件が増えた。特にスマホ・ブラウザ対応を望まれる中、FileMakerはWebDirectやCWPで頑張っていたけど、技術的・ライセンス的制約が多く、WebエンジニアがわざわざFileMakerを学ぶメリットが薄れたのだという。SaaSとの競合で負けてるってのもあるけど・・・。今はSaaS(Software as a Service)で「ある程度カスタマイズできるクラウドサービス」が続々と登場してるし、社内でなんとかする風潮もある。
FileMaker認定とか、まったくお客と関係の無い事に捕らわれ、気が付いたときはエンドユーザーが離れたという事じゃないのか。極端な話、お客はFileMakerだろうが、SQLだろうがDelphi(古)だろうが目的が達成できればいいわけだ。余計な縛りが増えてくると簡単に「別のもの」に切り替える。そこを素直に認めない開発者集団になるのは危険だ。ただ救いは経営陣が金融系ではなく技術畑で成り立っていること。
・本音の原因はライセンスが高い。これに尽きる。
同時接続数を厳しく制限するライセンス体系や、クラウド版(Claris FileMaker Cloud)への移行を推奨する戦略により、中小企業ユーザーや個人開発者がFileMakerを導入しづらくなった。以前の「FileMaker Pro単品を1本買って小規模運用」ができなくなったのも大きい。
以前なら、アドバンス1個あれば大抵の開発はできたけど、今はサーバーとクライアント5のライセンスを更新してる感じだから負担が大きいし、フリーの開発者が離れる原因を作ったのは間違いないかな。そして学生さんも使わなくなった。
Are businesses still relying on FileMaker Pro?
Crazy expensive?
“Yes FileMaker has gotten very expensive for small businesses. It’s because Claris… focus on businesses in the 100-1000 user range… For ~5 licenses it’s stupidly expensive compared to the competition. And Claris has spent the past ten years steadily working to ensure that every penny that can be squeezed out of their stagnant user base is duly squeezed out.”
“FileMaker has just fallen way too far behind the competition. I’m embarrassed I didn’t retrain earlier… My company has decided to completely switch to Salesforce.”
ただの拾った声だけど、本音だよ。昔はユーザーとの距離が近かったけど、このまま放置したらマズイ状況にあるのは間違いないと思う。
僕も肌で感じている。
91年に初めてFileMakerPro2を使用したときに、「プレビュー!」だけで驚き、レイアウトのフィールドも直感で動かせ、繰返しフィールドで飯が2杯おかわり出来た時代。こうしなきゃダメだよなんて言う人も居なかったし、直感で好きになれた。パソコン通信で海外のテンプレートを開くとほとんど医療系だったこと。Pro3でリレーション!でも中途半端なリレーションで4になってリレーショングラフが作れたんじゃなかったっけ?その後変数が使えるようになり、ランタイム作れたりワクワク感もあった。
でも、感じたことはインターネットの普及とともにFileMakerとユーザーの距離がどんどん遠くなっていく。
「インターネットは危険です!」
「クラウド依存は危険です!」の時代になったらFileMakerは強いかも。
完全スタンドアロンで業務アプリを作って完結できるシステムって今考えると凄いけど、ExcelやAccess、桐なんかもそう。Delphi系、MAC好きおフランス系の4th Dimensionなんかもそうか・・・。
真面目な話、拠点が少ない中小企業の業務用ソフトで、そもそもクラウドの必要性を疑う人もけっこういるし、サイバー攻撃やクラウドサービス提供会社の一方的な利用規約変更や値上げに腹立っている人も多いから、全ての道が途絶えるわけじゃないけど、負担のことを考えるとSaaSに移る事業者が増えてるのを実感してる。
僕は続けるけどねw